日米で出産を経験した女医の日本の育児環境への違和感と望み

ママけん
編集部

今回は特別企画として、現在整形外科医としてお仕事をされている41歳のYさんに寄稿して頂きました。
Yさんはアメリカで長男と次男を出産。
その後、日本に戻って4歳と2歳の男の子を育てながら長女を出産し、ワンオペで3人の子の育児を経験。
現在のコロナ禍で不安に思う日本の育児体制について、実体験をもとに貴重なご意見を頂きました。
是非、多くの方に読んで頂きたいと思います。

コロナ禍での育児ニュースで思い出す辛い育児体験

コロナ騒ぎで子供と過ごす時間が増えている今、気になるのはテレビで流れる虐待や育児放置のニュースである。いたたまれない気持ちになる。

私は現在6歳(男)、4歳(男)、2歳(女)の子育て真っ最中の整形外科、ワーキングマザーである。

3人目を出産後は本当にきつくて逃げ出したいような気持ちであった。現在でも小さい赤ちゃんを抱えている人を見ると涙が出そうになるくらいだ。

上の二人はアメリカに留学中に出産したため、3番目は初めての日本での出産であった。

日米での出産前の制度の違い

家族の後ろ姿

アメリカでは、出産前日まで仕事して産後翌日には退院、産後6週で復帰というのが一般的

日本では1ヶ月前には産休に入れて産後は5日くらい入院できて、産後は1年も育休を取れるなんて、余裕だろうとタカをくくっていた。

しかし出産前から、3歳2歳の男の子を抱え、妊娠しながら整形外科の仕事を続けることは思った以上にしんどかった。

ハンマーやボーンソーを振り回しつつ手術を行い、外来や病棟業務、また看護学校の授業を行い、ヨレッヨレでボーイズを抱え、ようやく家に帰ると、荷物を片付け、ご飯を作り、お風呂に入れて、眠るまで目が回るように忙しかった。

当時夫は救急部に在籍していたため、ほとんどうちにおらず、三日に一度仮眠を取りに帰宅する程度であった。

普段は子供の面倒から、料理洗濯など何でもする夫であったが、うちにいないし、激務の大学病院勤務であったため、帰宅したらヨレヨレで夫の方がきつそうなくらいであった。

出産と育児は想像を絶する激務

私は若い頃は、研修医の2年間はほとんど家に帰れなくても平気だったので、体力は大丈夫だろうと思っていた。

しかしどうだろう。今回は本当にダメじゃないかと思うくらいキツかった。

3人目の出産前は妊娠中毒症になりかけ、結局1ヶ月前には産休に入るも、下の子と朝から晩まで一緒で、仕事をしている方が楽なのではないかと思うくらいであった。

知識では補えない出産後の心の疲弊

悩み

頭では理解していても、心が閉じていく・・

出産後はトイレトレーニング中の3歳児、2歳児、赤ん坊を抱え、本当にきつかった。ホルモンバランスが崩れているだけ。産後の大きな変化で体が疲れているだけ。休めば、時間が経てば、大丈夫。自分の体で起こっていることはわかっているのだが、産後のマタニティーブルーを通り越し、産後うつに入るのではないかと思った。

実母も義理の母も旅行に趣味に忙しく、ずっと3歳2歳の男の子たちと、0歳の赤ちゃんと毎日4人きりで過ごしていたが、いきなり消えたくなったりすることもあった。

実は長男が生まれる前に流産や死産の経験があり、その時のことを考えれば、赤ちゃんが無事に産まれてくれて、元気に自分の腕の中で育っている。それ以上に何を望むのかと考えたが、ダメだった

体がきついが逃げ道がなく、もはや考える能力もなくなっていた

実は多い産後自殺に思うこと

産後自殺が多いことはあまり知られていないかもしれないが、自分がホルモンバランスにやられ、一番考えられなかった疲労にやられ、思考回路がおかしくなっていることに気がついた。

ほんの少しでも眠ることができればよかったと今では思う

精神科の友人に電話して自分の状況を伝えた。

友人はとりあえず、話を聞いてくれて、そして夫に連絡するように言われたため、夫に相談した。結果夫は緊急事態であることを理解し、すぐに動いてくれた。

実母義理の母に助けを求め、家事育児の代行を頼み、人が入るようになったため、私も人と会話できるようになり、助かった。

保健師さんにも連絡したが、実際は全く話しをすることはなく、実際に赤ちゃんに会ってくれることはなかった

日米の出産・育児制度の違い

家族写真

産前産後の制度は日本の方が圧倒的に楽?

アメリカでの妊娠出産に比べると日本での妊娠出産は非常に楽なように感じるが、何が違うのか。

妊娠出産と同じことをしているのに、そんなにアメリカ人はタフなのか。

違うと思う。

確かにアメリカでは産後すぐ退院して、重いチャイルドシートと新生児を抱え、短パン、ビーサンで通院している産後のお母さんたちはタフだなと思ったが、それだけではないと思う。

社会が、家族の対応が大きく影響しているのではないかと思う

社会全体で赤ちゃんを育てるアメリカ

アメリカでは妊娠中に大きなお腹で仕事をしている時、知り合いでもない人たちから、絶えず励ましの言葉や応援をもらい、また出産前には職場で盛大なベイビーシャワーをしてくれた

ありとあらゆるものをプレゼントされ、ケーキとフルーツパンチでお祝いをしてもらった。産後も赤ちゃんを連れていると、みんなが話しかけてくれて励ましてくれた

みんなが、子育てのきつさを経験しているからかと思う。

機能していない日本の男性育休制度

アメリカでは産後は母親だけでなく、父親も1ヶ月は休みをとる

それでも大変だといっている。

日本でも現在見直されつつあるが、父親世代はもちろん、我々の世代でも子育てに参戦して、子育ての状況を理解している男性が少ないと思う

日本での妊娠出産子育てをして、それが本当に孤独で大変な仕事であることがわかった

社会に認められない育児という仕事

仕事では褒められ、育児では褒められない

本当にやりがいがあって、自分の愛する子供と一緒に居られることはこれ以上ない幸せであることはわかっているのだが、仕事と違うきつさがあった。

オペ場で手術をしたり、外来している時のような皆で仕事をしている時のような会話がない。そして、どんなきつい当直でも、朝になれと交代がくるが、育児では変わりがこない。メンバーも変わらない。そして『昨日の手術はすごかったな、大変だったな』『お疲れ様』などみんなに声をかけてもらえる充実感がなかった。

日本でも、お母さんたちの孤独感がなくなればいいなと思う。

古い体質からの脱却と良き慣習の融合を願う

『コロナで一日家で子供と缶詰だったり、毎日3食作らなければいけないのが地獄だ』とママたちの叫びが報道されている。

気持ちがよくわかるが、私の母たちの世代では『自分たちが子育てをしている時代はそれが当たり前のことだった、今の人たちは根性がない。コロナのおかげで、昔みたいにお母さんが子供といる時間が増えてよかったと思う』という意見も聞く。

こう言った意見が、非常に苦しい。

私が小さい頃は、団地で育ったので家の周りには同世代の子供たちがたくさんいて、外で日が沈むまで遊べたし、近所の大人たちも皆知り合いで、よく遊んでもらっていた。

現在でもそう言った近所づきあいが出来ている地域もあるかもしれないが、私が住んでいる地域では近所付き合いがなく、周りにどんな人が住んでいるかもあまり知らない。

結果、それぞれの家庭が孤立して、子育ても誰にも頼れなくなる。

【最後に】医師である私が育児から学んだこと〜今後の社会への願い〜

希望

周りに助けを求めることより、子供が生まれてからは警戒心が強くなり、なかなか知っている場所しか人付き合いをしなくなってしまった。

結局、医学の知識が少しくらいあっても、体力があっても、全く役に立たない

産後のホルモンが大きく変化している状態で、子供と缶詰になるのはきつい状況であること。地域付き合いや、もしくは情報を共有できる場所があるのは本当に助けになると思う。

コロナで世界が変わりつつあるが、そんな中でも、世のお母さんたちが少しでも子育てがしやすくなることを期待する。

以上です

まとめ

ママけん
編集部

今回、ママけん管理人の知人であるYさんにお話を伺いました。
女医さんであるYさん自身が、医学的な知識や体力では補えないほど育児は大変だとおっしゃっていたことが非常に印象的でした。
今後も、多様な方の経験談をPostしていくので、多くの方に読んで頂ければ嬉しいです。
また、Twitterやインスタグラム、noteやblogなどにシェア頂ければ幸いです。

キャッチアップ

『ママけん』とはコミュニティ「ママの社会科見学」の略で、『育児のために自分の生活や人生を諦めることなくママ自身が輝こう!』というスローガンをもとに発足しました。

このママけんMediaは『ママけん』の活動の1つです。

育児をしながら学ぶことって、もちろん初めは少し大変で難しいこともありますが意外と有意義で楽しいものです。

自分と子供のためになると思えば、集中力ややる気も湧いて充実度2倍!

コロナの影響もあり、ご近所でのママコミュニティが難しい現状ですが、社会のIT化によりオンラインでのコミュニティ形成が手軽にできるようになりました。

現在、代表である白吉は男性の育児参加促進や、家庭内での家事分担の公平化などを通して家庭円満な家族を増やすことで、生活の質と教育の質が上がり社会がより良くなることを目標に活動を行っています。

コミュニティ参加に関わらず、何かお困りなことがあればメッセージなどでも受け付けていますので、お気軽のご連絡ください。

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